カルサイラボは、なぜ少人数なのか

前回のコラムでは、
先日の体験教室を手がかりに、
カルサイラボが「どんな時間をつくりたいのか」について整理してみました。

料理を上手に作ることや、
同じものを再現できるようになることを、
最初の目標には置いていない理由。
考えながら手を動かす時間を大切にしたい、という考え方。

そうした教室の方向性は、
実は、かなり具体的な設計の一つひとつに反映されています。

今回はその中から、
「なぜ少人数なのか」
「なぜ定員を4人にしているのか」
という点について、もう少し詳しく書いてみたいと思います。

定員4人にしている理由

カルサイラボの体験教室やコースは、
定員を4人にしています。

料理教室として考えると、
少なすぎる、と感じる方もいるかもしれません。
もっと人数を入れたほうが効率がいいのでは、と。

それでも、この人数にしたのには、
はっきりした理由があります。

見る・話す・待つ余白

料理を一緒に作る時間には、
「手を動かす」以外にも、
いくつか大事な時間があります。

たとえば、

・他の人の手元を見る
・火の入り方を一緒に眺める
・味を確かめて、言葉にする
・次の工程を少し待つ

こうした時間は、
人数が多くなるほど、自然に削られていきます。

早く進めるために説明が増え、
失敗しないように指示が細かくなり、
結果として「考える余地」が小さくなる。

カルサイラボでは、
こうした時間を、
意識して大切にしたいと考えています。

全員の様子が、ちゃんと見える人数

実は、定員を4人にした背景には、
私自身の学生時代の経験もあります。

専門学校で調理実習を受けていた頃、
一つの作業台に入る人数は、基本的に4人でした。
3人のときもあれば、5人になることもありましたが、
不思議と、どちらもうまく回らなかった記憶があります。

3人だと、
誰か一人が手を止めると作業が滞りやすく、
役割の偏りも起きやすい。
一方で5人になると、
全員が手を動かす時間は減り、
「見ているだけ」の人が自然に生まれてしまう。

4人という人数は、
全員が関われて、
全員が少し距離を保てる、
ぎりぎりのバランスだったように思います。

定員4人というのは、
主催する側から見ても、
参加する側から見ても、
「全員の様子が分かる」人数です。

誰かが迷っていること、
誰かが気づいたこと、
誰かが言葉にできずにいる感覚。

そうした小さな変化は、
人数が増えると、どうしても見えにくくなります。

教える側が一方的に話す場ではなく、
一緒に考える場にしたい。
そのためには、
目が届く人数であることが欠かせません。

「効率」を優先しない理由

少人数にすると、
当然、効率はよくありません。

一度に教えられる人数は少なく、
準備や片付けの手間も、人数に比例して減るわけではない。

それでも、カルサイラボでは、
効率よりも「場の質」を優先しています。

早く覚えることよりも、
失敗しないことよりも、
自分で判断できる感覚を持ち帰ってもらうこと。

そのためには、
少し遠回りに見えるやり方のほうが、
結果として意味があると考えています。

少人数だからこそ起きること

実際に体験教室を行ってみると、
少人数だからこそ生まれる時間がありました。

誰かの一言に、別の人が反応し、
そこから話が広がっていく。
料理の途中で立ち止まり、
「今、どう感じているか」を確かめる。

こうしたやり取りは、
予定通りに進める教室では、
なかなか生まれません。

定員4人という設計は、
こうした時間が自然に起きるための、
一つの条件なのだと思っています。

教室というより、ラボに近い場

カルサイラボが目指しているのは、
完成度の高い料理を作る場というより、
考えながら手を動かすラボのような場です。

そのためには、
人数を増やすよりも、
一人ひとりの時間を確保することが大切でした。

少人数という形は、
その考え方から自然に決まったものです。