カラメルソースの“最適加熱温度”を探る
1. はじめに
カラメルソースは、プリンのおいしさを大きく左右する存在です。
ほんのり甘い香りもよいけれど、少し苦味が加わることで大人の味わいになります。
そこで、今回は、「焦がし具合」が味にどう影響するのかを確かめるために、
加熱温度を190~230℃の5段階に設定したカラメルソースをプリンにかけて比較してみました。
2. 比較実験の条件
【プリンの条件】
- 卵2個、牛乳300ml、砂糖30g、バニラオイル少量
- 耐熱ガラスカップ( 100ml)に分注
- 160℃オーブンで湯せん焼き:約30分
- 冷蔵庫で冷却し、カラメルの風味を引き立てるよう甘さ控えめに仕上げました
【カラメルソースの作り方(温度別に5種類)】
材料(各回):
- 砂糖 50g
- 水 小さじ1(5ml)
- 熱湯 大さじ2(30ml)を加熱終了時に加える
器具:
- ステンレス製ミルクパン
- プローブ付き温度計
各温度で火を止めた直後に熱湯を加え、加熱を止めてソース状に仕上げました
💡注意点
- 加熱後に加える熱湯の量が少ないと、冷却後に固まりやすいことが予備実験でわかりました。試行錯誤の末、大さじ2(約30cc)が適量と判断し、全条件で統一しました。
- 熱湯を一度に加えると激しく蒸発しますので、やけど等に十分ご注意ください。
3. 温度ごとのカラメルソースの比較(視覚的変化)
実験で作成した5種類のカラメルソースを、室温で冷ました状態で比較しました。
下の写真はその様子です。
カラメルソースの色は、190℃では黄金色、230℃では黒褐色と、温度が上がるにつれてより濃く変化しました。
視覚的にも温度ごとの差がはっきりと確認でき、粘度も温度が高くなるほど増していく傾向が見られました。

4. 味とプリンとの相性の評価
実際に各温度で作成したカラメルソースをプリンにかけ、色・香り・味・粘度の違いを観察しました。どの温度が最もプリンとよく合うかを考えながら、それぞれの特徴と相性を下の表にまとめています。
温度(℃) | 色 | 香り | 味 | 粘度 | プリンとの相性 |
190 | 黄金色 | 甘い香り | 軽い甘味 | ややサラサラ | 物足りない |
200 | 明るい茶色 | カラメルの香り | 強めの甘味 | ややサラサラ | やや物足りない |
210 | 赤茶色 | 香ばしい香り | 甘味の中にやや苦味 | 適度の粘性 | 好みによっては良好かも |
220 | 赤褐色 | 焙煎の香り | 甘味と苦味 | 少し重たい粘性 | 最も良好 |
230 | 黒褐色 | 焦げた香り | 苦味の中にややえぐみ | やや重たい粘性 | 苦みが強い |
5. ベスト温度は?
では、5種類の中で、どの温度で作ったカラメルソースがもっともおいしかったのでしょうか?
個人差はありますが、筆者がベストと感じた温度は220℃でした。
220℃というと、加熱温度が高すぎると思われるかもしれません。
たしかに焦げすぎてしまう印象があるかもしれませんが、実際には、ナッツのような香ばしさと、苦味の中にある深いコク、そして余韻が感じられ、甘さ控えめのプリンと驚くほどよく合いました。
たとえば、フランスのクレームカラメルには、220℃前後までしっかりと加熱して香ばしさを引き出すレシピも見られます。参考になる情報もいくつかあり、レシピによっては焦がし加減を強めることで、独特の苦味とコクを活かしているようです。
ですが、“何℃まで加熱して作ったカラメルソースがベストか”は、食べる人の好みや、合わせるプリンの味によって異なります。
本実験では220℃を好ましく感じましたが、ぜひご自身でもいろいろな温度を試して、最適な焦がし具合を見つけてみてください。

6. まとめ
カラメルソースは、「温度 × 水分量」で、味も質感も自在に変化する、奥深い素材だということがわかりました。
筆者自身の評価では、220℃まで加熱したカラメルソースがプリンとの相性がもっとも良く感じられましたが、190〜230℃の間にはそれぞれに個性のあるカラメルが揃っているといえそうです。
あなたにとっての“ちょうどいい甘さと苦さのバランスがとれたカラメルソース”は、何℃で作ったものでしょうか?
ぜひ、ご自身の好みに合う温度帯を探して、カラメルソースづくりを楽しんでみてください。