チョコレートは、考えるきっかけになる
チョコレートは、
同じ材料を使っても、同じ形に仕上げても、
食べたときの印象がまったく違うことがあります。
その違いは、
レシピを見ただけでは、なかなか想像できません。
2月を前に、
チョコレートを題材に、いくつか体験の場を続けてきました。
この時期は、バレンタインが近づくこともあり、
チョコレートに触れる機会が自然と増えます。
「うまく作りたい」「失敗したくない」という声も、よく聞きます。
ただ、今回のコラムでは、
そうした話題から少し距離を置いて、
チョコレートの「状態」に目を向けてみたいと思います。
どう作るか、ではなく、
今、どんな状態になっているのか。
そこに注目するだけで、
チョコレートの捉え方が変わってきます。
テンパリングの有無だけを変えて、比べてみる
今回の体験では、
チョコレートの種類やトッピングは同じにし、
テンパリングの有無だけを変えたものを用意しました。
型も同じ。
量も同じ。
トッピングも同じ。
違うのは、
チョコレートの状態を整えるための温度操作をしたかどうか、
その点だけを変えました。
いわゆる「テンパリングあり」と「テンパリングなし」。
※ テンパリング:チョコレートの状態を整えるための温度操作
ただし、この時点では、
どちらが正しいか、どちらが失敗か、という話はしません。
まずは、
並べて、見て、触って、食べてみる。
それだけにしました。

見た目よりも、食べたときに差が出る
最初に気づくのは、
表面のつやや、色の均一さかもしれません。
ただ、今回の体験で印象的だったのは、
見た目以上に、触ったときや食べたときの違いでした。
・指で触れたときのベタつき
・割ったときの音
・口に入れた瞬間の溶け方
・後味の残り方
同じチョコレートなのに、
感じ方ははっきり違います。
「どちらが好みか」
「どちらがおいしいか」
そうした言葉よりも先に、
「さっきと違う」
「口の中での広がり方が違う」
といった反応が、自然に出てきました。
言葉を探しながら、
もう一度口に運ぶ。
そのやりとり自体が、
今回の体験の中心だったように思います。
きれいに作る前に、「今の状態」を見る
チョコレートというと、
テンパリングを「正しくやること」が目的になりがちです。
確かに、
つやが出て、
パリッと割れて、
口どけがよい状態は、
お菓子としてとても魅力的です。
ただ、今回あらためて感じたのは、
きれいに作ることよりも先に、
今どうなっているかに気づくことの大切さでした。
テンパリングをしていないチョコレートも、
「だめ」なわけではありません。
少し柔らかい。
少し溶けやすい。
後味が長く残る。
それはそれで、
一つの状態です。
その違いを、
失敗として切り捨てるのではなく、
「こういう特徴がある」と受け取る。
そこから、
「では、どんな仕上がりにしたいのか」
を考えることができます。
「家庭で再現できる」とは、何を持ち帰ることか
料理教室では、
「家庭で再現できます」という言葉をよく聞きます。
カルサイラボでも、
特別な機材や材料は使っていませんが、
「再現できる」という言葉を、
少し違う意味で使っています。
同じ味になる、ということよりも、
同じ考え方で判断できること。
今日は少し水分が多い。
今日は火が強い。
今日は甘さを控えたい。
そうした違いに気づき、
自分で調整できるようになること。
それが、
家庭で再現できる、ということだと考えています。
チョコレートは、考えるきっかけになる
チョコレートは、
条件をそろえても違いが出やすい食材です。
だからこそ、
考えながら手を動かす題材として、とても向いています。
答えを先に知る必要はありません。
まず比べて、
違いを感じて、
言葉にしてみる。
そのあとで、
「なぜそうなったのか」を、
少しずつたどっていけばいい。
今回の体験は、
チョコレートを通して、
料理の中で起きていることに
立ち止まって目を向ける時間でもありました。
次回は、
こうした違いがどこから生まれるのかを、
チョコレートの中身に少しだけ目を向けながら、
整理してみたいと思います。
カルサイラボでは、題材は異なりますが、
こうした「比べて考える」視点を大切にした体験の場を設けています。
体験教室のページはこちら


