食品の安全性は、どのように評価されているのか ― 安全を判断するための4つの視点 ―

1. はじめに

前回のコラムでは、

・フグ
・食塩
・水

を例に、食品の安全について考えました。

フグには強い毒を持つ種類があります。
一方で、適切に処理されたフグは食べられています。

また、食塩や水も私たちに必要なものですが、摂り方や量によっては
健康への影響が出ることがあります。

このように、食品の安全は、単純に「安全」「安全ではない」と
分けられるものではありません。

その食品や成分がどのような性質を持っているのか。
そして、私たちがどれくらい摂取するのか。
その両方を合わせて考えることが大切です。

食品添加物や農薬についても、「食品に含まれていて大丈夫なのだろうか」と
気になる方もいると思います。

では、こうした成分については、実際にどのようなことを調べ、
安全性を判断しているのでしょうか。

今回は、食品の安全性評価の全体像を、

・どのような健康への影響が心配されるのか
・どのくらいの量で影響が現れるのか
・実際にどのくらい摂取するのか
・それらをどのように比べて判断するのか

という4つの視点から見ていきたいと思います。

2. 安全性はどのように調べるのだろう

例えば、食品添加物や農薬のように、
食品を通じて人が摂取する可能性のある成分について考えてみます。

安全性を評価するときには、まず、その成分がどのような性質を
持っているのかを調べます。
特に大切なのは、健康にとって望ましくない影響があるかどうかです。

どのような健康への影響が心配されるのか。
少ない量ではどうなのか。
多い量ではどうなのか。
長く摂り続けた場合はどうなのか。

こうしたことを、試験やデータに基づいて確認していきます。

3. 安全性評価の4つの視点

食品添加物や農薬などの安全性評価は、大まかに4つの視点で行われています。

① どのような健康への影響が心配されるのかを調べる
まず、その成分によって、健康にとって望ましくない影響が
起こる可能性があるかどうかを調べます。

例えば、

・急性毒性
・長期間摂取した場合の影響
・発がん性
・生殖や発達への影響

などが調べられます。

② どのくらいの量で影響が現れるのかを調べる
次に、どのくらいの量でその影響が現れるのかを調べます。
一般に、多くの物質では、摂取量が少なければ影響は現れにくく、
量が増えるにつれて影響が現れやすくなります。

③ 実際にどのくらい摂取するのかを調べる
続いて、その成分が食品中にどのくらい含まれているのか、
また、その食品を私たちがどのくらい摂るのかを調べます。
例えば、野菜や果物をどのくらい食べるのか、飲み物をどのくらい飲むのか、
といった食事調査の結果も利用されます。

④ 影響が現れる量と実際の摂取量を比較する
最後に、健康への影響が現れる量と、実際に摂取すると考えられる量を比較します。
この結果をもとに、健康への影響が心配ないかどうかを判断します。

4. 健康への影響は「量」と一緒に考える

ここで大切なのは、ある成分が健康にとって望ましくない影響を与える可能性を持っていても、
それだけで実際に健康への影響が問題になるとは限らない、という点です。

例えば、食塩は私たちの体に必要な成分です。
しかし、摂り過ぎれば高血圧などの健康への影響が心配されます。

つまり、食塩そのものが「安全」か「安全ではない」かというより、
どのくらい摂るのかが重要になります。

これは食品添加物や農薬などを考えるときにも共通する視点です。

大切なのは、どのくらいの量で健康への影響が現れるのか、
そして、実際にどのくらい摂取するのかです。

安全性評価では、この両方を合わせて考えます。

5. ひとつの情報だけでは判断できない

私たちは、日常生活の中で、

「○○には健康への影響がある」
「○○には毒性がある」

といった情報を目にすると、不安になることがあります。

しかし、安全性評価では、その情報だけで判断しているわけではありません。

・どのような健康への影響が心配されるのか
・どのくらいの量でその影響が現れるのか
・実際にどのくらい摂取すると考えられるのか

といったことを、総合的に考えています。

そのため、安全性評価には、多くの試験結果や調査データが使われます。
評価には時間も手間もかかります。

しかし、それはできるだけ科学的な根拠に基づいて、
健康への影響が心配ないかどうかを判断するためです。

6. おわりに

今回は、食品の安全性評価が、

・どのような健康への影響が心配されるのかを調べる
・どのくらいの量でその影響が現れるのかを調べる
・実際にどのくらい摂取すると考えられるのかを調べる
・影響が現れる量と実際の摂取量を比較する

という流れで行われていることを見てきました。

食品の安全性は、単に「健康に影響を与える可能性があるかどうか」だけで
判断されているわけではありません。

さまざまなデータを集め、健康への影響が現れる量と、実際に摂取すると考えられる量を
比較しながら評価されています。

次回は、安全性評価でよく使われる、
「一生にわたって毎日摂取しても、健康への影響が心配ないと考えられる量」
という考え方について見ていきたいと思います。

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