理屈を知ると、料理はもっと面白くなる ― カルサイラボ体験教室の記録 ―
1. はじめに
5月、カルサイラボの体験教室を開催しました。
テーマは、「肉まんの皮の食感を比べる」です。
今回比べたのは、とても小さな違いです。
同じ小麦粉。
同じ配合。
変えたのは、水の量だけ。
4個分の小麦粉に対して、55mLまたは45mLのぬるま湯を加えて生地を作り、その違いを観察しました。
料理教室というと、レシピを学びながら料理を作る場を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、今回、私が体験教室でやってみたかったのは、「違いを比べながら考えること」 でした。
2. 今日の問い
教室の最初に、参加者の方に一つの問いを投げかけました。
「同じ粉・同じ配合で、加水量だけを変えると、どちらがよく膨らむでしょうか」
・水が多い生地
・水が少ない生地
・あまり変わらない
正解を当てることが目的ではありません。
まず予想してみる。
そして実際に作りながら確かめてみる。 その過程を大切にしたいと思いました。
3. 違いは、食べる前から始まっていた
実際に作り始めると、違いはすぐに現れました。
生地をこねたときの感触。
手触り。
まとまり方。
伸ばしやすさ。
包みやすさ。
参加者の方は、生地を触りながらたくさんのメモを書き込んでいました。
私はその様子を見ながら、「違いは食べる前から始まっている」と改めて感じました。
料理の違いは、完成したときだけに現れるものではありません。
作っている途中にも、さまざまな変化が現れています。
4. なぜ違いが出るのだろう
今回印象的だったのは、「なぜ違いが出るのですか」という質問が何度も出たことです。
料理では、「こうするとこうなる」という経験則がよく語られます。
もちろん、それも大切です。
しかし、「なぜそうなるのか」を知ると、料理はさらに面白くなります。
水を少し増やすと何が変わるのか。
なぜ生地の伸び方が変わるのか。
なぜ食感が変わるのか。
理由がわかると、応用できるようになります。
5. 比較すると、見えるものがある
今回変えたのは、たった10mLの水です。
しかし、
・生地のやわらかさ
・まとまり方
・包みやすさ
・蒸し上がり
・食感
には違いが現れました。
普段の料理では、こうした違いに気づく機会はあまり多くありません。
なぜなら、一度にたくさんの条件が変わってしまうからです。
また、参加者の方からは、「普段はレシピ通りに作ることが多く、条件を変えて比較したことがなかった」という話がありました。
確かに、家庭では同じ料理を条件違いで何回も作ることは簡単ではありません。
しかし、実際に比較してみると、「思っていた以上に違う」ことに気づきます。
また、試作に協力してくれている専門学校時代の同期も、スポンジケーキの生地を泡立てる際、「これくらいで十分だと思っていたが、比較してみると、もっと泡立てた方がよく膨らむことが分かった」と話していたのが印象的でした。
比較することは、食材や料理を見るだけではありません。
自分の作業や思い込みを見直すことにもつながるのだと思います。
6. カルサイラボが目指していること
今回の体験教室を通して、改めて感じたことがあります。
それは、カルサイラボは、料理を教えるだけの場所ではないということです。
もちろん料理は作ります。
今回の肉まんも、参加者の方からは「どちらもおいしい」と好評でした。
ただ、今回の目的は「どちらがおいしいか」を決めることではなく、その違いを観察することでした。
カルサイラボでは、それ以上に、
・予想する
・観察する
・比べる
・考える
ことを大切にしたいと思っています。
料理には正解が一つあるわけではありません。
だからこそ、「なぜ違いが生まれるのか」を考えることに価値があります。
カルサイラボでは、これからも予想し、観察し、比較しながら、
料理を理解する楽しさを大切にしていきたいと思います。

7. おわりに
今回の体験教室では、たった10mLの水の違いから、多くの気づきがありました。
理屈がわかると、料理はもっと面白くなります。
そして、自分で考えられるようになります。
これからもカルサイラボでは、作るだけではなく、比べて、考えて、確かめる。
そんな体験を大切にしていきたいと思います。
もし興味を持たれた方がいましたら、ぜひ一緒に「なぜ違いが生まれるのか」を考えてみませんか。
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