食品の安全性評価シリーズを終えて、見えてきたカルサイラボ ― 学び、発信し、つながり、社会に生かす ―
1. 食品の安全性評価シリーズを終えて
先週まで、8回にわたって「食品の安全性評価シリーズ」のコラムを書いてきました。
「安全とは何か」という問いから始まり、安全性評価を考えるための視点、ADIと安全係数、複合影響、遺伝子組換え食品、遊離糖類まで、いくつかの例を通して食品の安全や健康影響について考えてきました。
シリーズを通して大切にしてきたのは、「安全」「危険」といった一つの言葉だけで判断しないことです。
何を対象にしているのか。
どのような健康への悪影響を見るのか。
どのくらい摂取しているのか。
何と比べているのか。
その結果を、どのような判断につなげているのか。
こうした点を一つずつ整理することで、食品についての情報を、その背景にある評価の内容まで含めて見ることができます。
シリーズを終えてあらためて振り返ると、この「何を見て、何と比べ、どう考えるのか」という姿勢は、食品の安全性評価だけでなく、カルサイラボのほかの活動にもつながっていることに気づきました。
2. 「粉と水」と食品の安全性評価
食品の安全性評価シリーズを終えたあと、カルサイラボのホームページを見直しました。
そこであらためて感じたのは、食品の安全性評価で考えてきたことと、料理教室で行っている「粉と水」の比較には、考え方として重なる部分があるということです。
粉と水をテーマにした教室では、粉の種類、水の量や温度、こね方、寝かせる時間などの条件を少しずつ変えます。
何を変えたのか。
何と何を比べるのか。
条件が変わると、食感や仕上がりはどう変わるのか。
その結果から、何が分かるのか。
こうしたことを、実際に作りながら確かめていきます。
もちろん、食品の安全性評価と料理の比較は同じものではありません。
しかし、目の前の情報や変化を丁寧に見て、何が分かったのかを考える姿勢には、共通する部分があります。
カルサイラボで大切にしているのは、知識や作り方をそのまま覚えることだけではありません。
「なぜ、こうなるのだろう」
「何を変えると、どう変わるのだろう」
「この結果から、何を考えられるだろう」
と問いながら、自分で確かめることです。
3. ホームページを見直して見えてきたこと
今回、ホームページを見直し始めたきっかけは、体験教室の日程やご案内を更新することでした。
ところが、ページを一つずつ整理していくうちに、教室やコラムだけでなく、カルサイラボ全体の活動が少しずつ見えてきました。
そこで浮かんできたのが、次の4つの活動です。
学ぶ。
料理や食品について、実際に作り、比べ、確かめながら理解を深めます。
発信する。
教室や日々の学びから得たことを、コラムやホームページを通して言葉にします。
地域とつながる。
地域の人や場所とつながり、料理や食品について一緒に考えられる機会をつくります。
専門性を社会に生かす。
調理科学や食品安全、公衆衛生などの知識や経験を、授業、執筆、講演、研修などに生かします。
これらは、別々に並んでいる活動ではありません。
教室で実際に試したことが、新しい疑問につながる。
疑問について調べたことが、コラムになる。
発信した内容が、教室や地域での対話につながる。
そこで得た経験が、授業や執筆にも生かされる。
そして、授業や仕事を通して学んだことが、再び教室やコラムに戻ってきます。
ホームページを整理する中で、「学ぶ」「発信する」「地域とつながる」「専門性を社会に生かす」という4つの活動が、互いにつながりながら循環していることが見えてきました。
その関係を図にすると、次のようになります。

この図からも分かるように、カルサイラボでは、4つの活動が互いにつながり、その積み重ねが次の活動を生み出しています。
4. 一つの活動から、次の活動へ
カルサイラボには、最初から明確な完成形があったわけではありません。
料理教室を始め、コラムを書き、食品について調べ、授業や執筆の仕事に取り組む中で、少しずつ今の形が見えてきました。
一つの活動が一区切りを迎えても、そこで終わるわけではありません。
振り返ることで、新しい疑問や、次に試してみたいことが生まれます。
今回の食品の安全性評価シリーズも、8回で一区切りとなりました。
シリーズの中で大切にしてきた、
「何を対象にしているのか」
「何と比べているのか」
「どのくらい摂取しているのか」
「その結果を、どのような判断につなげているのか」
という視点は、これからの教室やコラムにもつながっていくと思います。
料理について考えるときにも、何を変え、何と比べ、その結果をどう捉えるのかを丁寧に見ることができます。
一つの活動から得た学びを、別の活動へつなげていく。
その積み重ねによって、カルサイラボも少しずつ育っていくのだと思います。
5. ホームページも、成長の記録として
これまでホームページは、活動の内容や予定をお知らせする場所だと考えていました。
けれども、今回見直してみて、カルサイラボがどのように考え、試し、少しずつ形をつくってきたのかを残す場所でもあるのだと感じました。
試してみる。
振り返る。
言葉にする。
次の活動につなげる。
その積み重ねが、カルサイラボの今をつくっています。
これからホームページでは、料理教室やコラムのご案内だけでなく、「学ぶ」「発信する」「地域とつながる」「専門性を社会に生かす」という4つの活動が、どのようにつながっているのかもお伝えしていきたいと思います。
カルサイラボは、一つの完成形を目指すというより、活動を重ねながら少しずつ育っていく場所です。
料理や食品を通して学び、人と出会い、考えたことを社会に生かしながら、これからもカルサイラボらしい歩みを重ねていきたいと思います。

