次は、ナッツの砂糖がけを比べてみたい

1.これまで見てきた、砂糖の加熱による変化

カルサイラボでは以前、砂糖と水を加熱しながら、温度によって砂糖液がどのように変わるのかを観察しました。

加熱を始めた砂糖液は、はじめは無色透明です。
水が蒸発するにつれて砂糖液は濃くなり、泡の様子や粘りが変わっていきます。
さらに加熱を続けると、色づき、香ばしい香りが生まれ、カラメルへと変化していきます。

また、カラメルソースを温度別に作り比べたときには、加熱の程度によって、色や香り、苦味が変わることを確かめました。
これまで見てきたのは、主に砂糖液を加熱していくことで起きる変化でした。
では、濃くなった砂糖液を混ぜながら冷ましていくと、どのような変化が起きるのでしょうか。

次は、その砂糖の変化を、ナッツの砂糖がけで見てみたいと思います。

2.ノワグラッセとプラリーヌ

今回取り上げたいのは、ローストしたナッツに砂糖をまとわせる二つのお菓子です。

一つは、ノワグラッセです。
砂糖の白い結晶がナッツの表面についた、さらりとした見た目のお菓子です。

もう一つは、プラリーヌです。
アーモンドなどのナッツを、琥珀色にキャラメリゼしたお菓子です。
こちらは、つやのある糖衣と、パリッとした食感が特徴です。

どちらも、ナッツと砂糖からつくられます。
けれども、ノワグラッセは白く、プラリーヌは琥珀色です。
食感も、甘さの感じ方も違いそうです。

砂糖をどこまで加熱するのか。
途中でどのように混ぜるのか。

そうした作り方の違いが、仕上がりにどのように表れるのでしょうか。

ナッツに白い砂糖衣をまとわせるノワグラッセは、フランス菓子の一つですが、日本にも似た砂糖がけがあります。
例えば、白い砂糖衣をまとったピーナッツは、南京糖や落花糖などの豆菓子として親しまれています。
また、おせちの田作りにも、砂糖液をからめて白く結晶化させる作り方があります。

ノワグラッセにも、日本の豆菓子や田作りの砂糖がけにも、砂糖の結晶で素材の表面を包むという共通点があります。
では、ノワグラッセの白い砂糖衣は、どのようにしてできるのでしょうか。

3.115℃前後まで煮詰めた砂糖液は、なぜ白くなる?

ノワグラッセでは、砂糖と水を加熱して、砂糖液を115℃前後まで煮詰めます。

温度は、砂糖液の濃さを見るための一つの手がかりです。
砂糖液を加熱して水分が蒸発すると、砂糖の割合が高くなり、沸騰している砂糖液の温度も上がっていきます。

十分に濃くなった砂糖液をナッツに加え、木べらで混ぜ続けると、透明だった砂糖液が次第に白くなっていきます。
これは、溶けていた砂糖が、細かな結晶として再び現れるためです。

十分に濃くなった砂糖液が冷えると、砂糖は溶けた状態を保ちにくくなり、結晶ができやすくなります。
混ぜることや、ナッツの表面に触れることがきっかけとなって、結晶が生まれ、増えていきます。

細かな結晶がたくさんできると、光が散乱するため、透明だった砂糖液は白く見えるようになります。
ノワグラッセの白い砂糖衣は、溶けていた砂糖が結晶となって、ナッツの表面を包んだものなのです。

4.さらに加熱すると、琥珀色の糖衣になる

白く結晶化したナッツを、さらに火にかける作り方があります。

加熱を続けると、白い結晶は次第に見えなくなり、砂糖がナッツの表面をつやのある糖衣として包んでいきます。
さらに加熱が進むと、砂糖は琥珀色に色づき、香ばしい香りが生まれます。
こうしてできるのが、琥珀色の糖衣をまとったプラリーヌです。

ノワグラッセは、砂糖の結晶を利用したお菓子です。
一方、プラリーヌは、さらに加熱して、砂糖の色や香り、糖衣の食感を生かしたお菓子です。

同じ砂糖液から始まっても、白い結晶の段階で止めるのか、さらに加熱して琥珀色にするのかによって、お菓子は違う姿になります。

5.白い砂糖衣と琥珀色の糖衣、味わいはどう違う?

ノワグラッセでは、白い砂糖衣が口の中でどのようにほどけ、甘さがどのように感じられるのでしょうか。
ローストしたナッツの香ばしさや、加えるシナモンの香りとの組み合わせも楽しみです。

プラリーヌでは、砂糖をさらに加熱することで、甘さに香ばしさやほろ苦さも加わりそうです。
糖衣の色によって、味わいも変わるのでしょうか。

同じナッツと砂糖を使っても、白い結晶の状態で仕上げるか、キャラメリゼするかによって、甘さの印象は変わるのでしょうか。
どちらでナッツの風味がより引き立つのか。
どちらをおいしいと感じるのか。

そして、その理由は甘さだけなのか。
これまでのマフィン、プリン、シフォンケーキと同じように、実際に作り、比べ、味わってみたいと思います。

6.次は、実際に作って確かめる

次の試作では、ノワグラッセとプラリーヌを作る予定です。
見たいのは、砂糖液が白くなり始める瞬間です。
そして、白い砂糖衣をさらに加熱したときに、砂糖衣の状態や色、香りがどのように変わっていくのかも観察します。

比べるのは、見た目だけではありません。
白い砂糖衣と琥珀色の糖衣の食感、ナッツの香ばしさ、甘さとほろ苦さのバランスなども、食べ比べながら確かめたいと思います。

これまで「砂糖と甘さ」シリーズでは、砂糖の量を変えることで、お菓子の仕上がりがどう変わるのかを見てきました。
次は、砂糖の状態が変わることで、甘さやおいしさがどう変わるのかを見てみたいと思います。

カルサイラボでは、実際に作って、比べてみることで、料理の中で起きている変化を楽しむ体験教室を行っています。
現在は「粉と水」をテーマに、粉と水の量や温度、作り方の違いが仕上がりにどう表れるのかを、一緒に作りながら確かめています。
ご興味がありましたら、体験教室のご案内もぜひご覧ください。
体験教室のご案内はこちら

7.参考文献

・中山弘典・木村万紀子(2009)『科学でわかるお菓子の「なぜ?」―基本の生地と材料のQ&A231』柴田書店.