砂糖の量を変えると、マフィンはどう変わるのか ― 甘さだけでなく、仕上がりにも目を向ける ―

1. まずは、砂糖の「量」から

前回のコラムでは、「砂糖と甘さ」を料理から見ていくことにしました。
砂糖は料理に甘味を加えるための身近な材料です。
しかし、料理の中での役割は、甘くすることだけではありません。

では、実際に砂糖の量を変えてみると、料理はどのように変わるのでしょうか。
甘さが変わることは想像できます。

けれども、生地の状態や膨らみ、食感などにも違いは表れるのでしょうか。
そこで第1回は、プレーンなマフィンを使って、砂糖の量を変えて作り比べてみることにしました。

2. 砂糖20g、30g、40gで比べてみる

今回は、薄力粉60gに対して、砂糖を20g、30g、40gと変えた3種類のマフィンを作りました。

A:砂糖20gを加えた生地
B:砂糖30gを加えた生地
C:砂糖40gを加えた生地

そのほかの材料や作り方、焼く温度や時間などは、できるだけ同じ条件にそろえました。
まず、焼く前の生地を比べてみます。

写真① 焼成前の生地:左からA(20g)、B(30g)、C(40g)

Aの生地は3つの中ではややさらっとしており、見た目にも少なめに見えました。
Bはその中間でした。
Cは比較的もったりとしており、見た目にもボリュームがあるように見えました。
焼く前の段階から、砂糖の量によって生地の様子に違いが見られました。

3. 焼いてみると、見た目にも違いが

次に、同じ条件で焼いた3種類を並べてみました。

写真② 焼き上がり:左からA(20g)、B(30g)、C(40g)

今回の試作では、A(20g)は低めに、B(30g)はその中間、C(40g)はもっとも高く焼き上がりました。

表面にも違いがあり、Aでは大きな割れはほとんど見られず、Bでは割れが見られ、Cではさらに大きな割れが見られました。
色についても、写真ではAよりCの方がやや色がついているように見えます。

ただし、焼き色は照明や見る場所によっても印象が変わります。
今回は測定したものではないため、焼き色については、あくまで見た目の印象として捉えています。

砂糖の量を変えただけでも、今回の条件では、高さや表面の形などに違いが表れました。

4. 切って、触って、食べてみる

焼き上がったマフィンを半分に切って、断面も比べてみました。

写真③ 断面:左からA(20g)、B(30g)、C(40g)

Aは、3つの中では断面のきめがやや粗く見え、触ったときや食べたときにも、ややかために感じました。
甘味はかなり控えめで、小麦粉の香りを感じやすい印象でした。

Bは、見た目や食感、甘さともにAとCの中間という印象でした。
食べてみると、もう少しふわっとした感じと甘味があってもよいように感じました。

Cは、3つの中では比較的きめが細かく見え、やわらかく感じました。
甘味もしっかり感じられ、3種類の中ではもっともふわっとして、おいしいと感じました。

しっとり感についても違いがあるように感じました。
ただし、今回は一人で行った簡単な食べ比べです。
食感や香りなどについては、測定や複数人による官能評価ではなく、あくまで今回食べ比べたときの印象として捉えています。

5. なぜ、甘さ以外にも違いが出るのだろう

今回変えたのは、砂糖の量です。
それでも、甘さだけでなく、焼く前の生地の状態、焼き上がりの高さや表面の形、食べたときの食感などにも違いが見られました。

砂糖は、料理の中で甘味をつけるだけの材料ではありません。
水との関わりや、加熱中に生地が変化していく過程などにも関係しています。
そのため、砂糖の量が変われば、生地の状態や焼き上がりにも影響が表れる可能性があります。

ただし、今回見られた一つひとつの違いを、「砂糖にはこの働きがあるから」と単純に結びつけることはできません。
マフィンの仕上がりには、小麦粉や卵、油、水分、ベーキングパウダーなどの材料に加えて、混ぜ方や焼成条件なども関わっています。

今回は、それらの条件をできるだけそろえ、その中で砂糖の量を変えてみました。
少なくとも今回の条件では、砂糖の量によって、甘さだけでなく仕上がりにもいくつかの違いが表れました。

6. 「少ない方がよい」ではなく、違いを見てみる

今回の目的は、砂糖をできるだけ減らすことではありません。
20g、30g、40gと作り比べてみると、甘さだけでなく、料理の仕上がりにも違いが見られました。

一方で、どのくらいの甘さがよいのか、どのような食感をおいしいと感じるのかは、料理の種類や食べる人によっても違うでしょう。
40gがいつでも「正解」というわけではありません。
大切なのは、「砂糖は多いか、少ないか」だけを見るのではなく、量を変えると料理全体がどのように変わるのかを見ることなのだと思います。

今回、マフィンを作り比べてみることで、砂糖が「甘くするために入れるもの」だけではなく、料理の仕上がりにも関わる材料の一つとして、少し違って見えてきました。

「砂糖と甘さ」の第1回は、まず砂糖の量を変えてみました。
これからも実際に作ったり比べたりしながら、砂糖と甘さを少しずつ見ていきたいと思います。

「条件を少し変えて、仕上がりを比べてみる」という見方は、「粉と水」シリーズにも通じています。
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