次は、あんこの甘さを比べてみたい ― 小豆の風味を生かす、ちょうどよい甘さはどこにある? ―
1.ナッツの砂糖がけから、あんこの甘さへ
前回の「砂糖と甘さ」シリーズでは、ナッツの砂糖がけを作りました。
同じ量の砂糖でも、白い結晶の糖衣にするか、琥珀色まで加熱するかによって、香りや食感、甘さの感じ方が変わりました。
次は、あんこを題材にします。
あんこは、小豆、砂糖、水というシンプルな材料から作られます。
砂糖の量が変わると、変わるのは甘さだけではないように思います。
小豆の風味、口当たり、後味、そして全体のおいしさも変わるのではないでしょうか。
次回の試作では、砂糖の量を変えたあんこを作り、「ちょうどよい甘さ」を考えてみたいと思います。
2.「ほどよい甘さ」と小豆の風味
あんこのおいしさを考えるとき、甘さは大切な要素です。
一方で、甘さが強ければ強いほど、おいしいとは限りません。
市販のどら焼きに使われる粒あんを対象にした研究では、多くの人においしいと受け止められるあんこの特徴として、「ほどよい甘さ」と「豊かな小豆の風味」が示されました。
砂糖は、あんこに甘さを加える大切な材料です。
小豆らしい香りや味わいが感じられることも、あんこのおいしさには欠かせません。
では、砂糖を減らすと、小豆の風味はどのように感じられるのでしょうか。
反対に、砂糖を増やすと、甘さだけでなく、口当たりや全体のおいしさはどう変わるのでしょうか。
次回の試作は、砂糖をできるだけ減らすことを目標にするのではなく、小豆の風味と甘さがともに生きる、ちょうどよいバランスを探してみたいと思います。
3.あんこのおいしさは、甘さだけで決まらない
あんこを食べるとき、私たちは甘さだけを感じているわけではありません。
小豆の風味や粒の残り方、やわらかさ、口どけ、見た目、後味なども、おいしさに関わっています。
砂糖や水分の量が変われば、こうした仕上がりも少しずつ変わります。
小豆あんについては、砂糖や水分の量を変えて、食感や好ましさを調べた研究があります。
砂糖や水分の違いによって、あんこのかたさや粘り、口どけが変わり、感じる甘さにも違いが出ることが報告されています。
また、砂糖の量を変えたあんこを比べた研究では、甘さだけでなく、口に入れたときのかたさや粘り、水っぽさの感じ方にも違いが見られました。
あんこのおいしさは、砂糖の量だけで決まるものではありません。
砂糖によって変わる食感や、小豆の風味との関係も含めて、おいしさがつくられているのだと思います。
4.まず、砂糖の量だけを変えて比べる
次回の試作では、砂糖の量だけを変えた3種類の粒あんを作る予定です。
小豆の種類や量、煮方、砂糖の種類、砂糖を加えるタイミング、煮詰める条件は、できるだけそろえます。
あんこづくりでは、使う砂糖の種類や水飴を加えるかどうかによっても、見た目や口当たりが変わると考えられます。
ただし、最初から条件を増やしすぎると、何による違いなのか分かりにくくなります。
そこで今回の試作では、水飴は使わず、砂糖の種類もそろえます。
変えるのは、砂糖の量だけです。
まずは、砂糖の量が変わると、あんこがどう変わるのかを見てみたいと思います。

図1 今回の試作では、ほかの条件をそろえ、砂糖の量だけを変えた3種類の粒あんを比べます。5.「甘い」と「おいしい」は同じだろうか
砂糖を多く入れたあんこは、甘さがはっきりします。
砂糖を減らしたあんこは、小豆らしさが感じやすくなるかもしれません。
ただ、いちばん甘いあんこが、いちばんおいしいとは限りません。
反対に、甘さを減らしすぎると、あんことして物足りなく感じることもあるでしょう。
次回の試作では、甘さ、小豆の風味、粒の感じ、口どけ、後味を比べながら、自分たちにとっての「ちょうどよい甘さ」を考えてみます。
同じ小豆と作り方で、砂糖の量だけを変えると、あんこにどのような違いが生まれるのか。
実際に作って、確かめます。
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6.参考文献
・田澤英二郎・加野博之・松本苗緒・村上正人(2018)「どら焼きの小豆餡の美味しさに寄与する香気成分について」『日本食生活学会誌』29巻1号,45–52頁.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh/29/1/29_45/_pdf
・中澤洋三・小暮早紀・宮下慎一郎・南和広・相根義昌(2022)「小豆餡の嗜好性と水分および糖度との関係」『日本食品科学工学会誌』69巻10号,473–480頁.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/69/10/69_473/_pdf
・倉本愛歩・宇田川心優・髙山史皓・末時弥呼・杉山寿美(2025)「小豆から調製した練り餡の性状に対する砂糖量,水分量の影響」『日本調理科学会大会研究発表要旨集』36巻
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/36/0/36_1/_pdf

