砂糖の量でリンゴジャムはどう変わる? ― 紅玉で確かめた甘さと仕上がりの違い ―

1.砂糖の量を変えてリンゴジャムを作ってみました

これまで3回(2026年10月6日号、2026年10月13日号、2026年10月20日号)にわたり、あんこの甘さについて考えてきました。

砂糖の量を変えて3種類の粒あんを作り、食べ比べたところ、砂糖が少ないものほど小豆の風味が強く感じられました。
しかし、甘さが足りないと物足りなく感じることもあり、甘さと小豆の風味のバランスが大切であることが分かりました。
さらに、自作の粒あんと市販のあんこを比べると、甘さだけでなく、粒の残り方や口当たり、餅と合わせたときの印象なども、おいしさに関わっていることが分かりました。

では、砂糖の量を変えると、果物を使ったジャムではどのような違いが生まれるのでしょうか。
今回は、リンゴジャムを作って比べてみることにしました。

使ったリンゴは紅玉です。酸味が強く、加熱調理にもよく使われる品種です。
砂糖の量は、リンゴの重さに対して30%、50%、70%の3種類としました。

  A B C
リンゴ(皮と芯を除いたもの) 150 g 150 g 150 g
砂糖 45 g 75 g 105 g
砂糖の割合 30% 50% 70%

皮と芯を除いたリンゴを5mm角に切り、砂糖を加えて20分置いてから加熱しました。
同じ鍋を使って順番に作り、沸騰後はそれぞれ8分間加熱しました。火力は適宜調整しました。

完成したジャムを一晩冷却し、色やつや、とろみ、甘さ、リンゴの風味を比較しました。

写真1 砂糖の量を変えて作ったリンゴジャム。左から、A:30%、B:50%、C:70%。一晩冷却後の状態。

2.砂糖の量で、見た目も食感も変わりました

3種類を並べてみると、色やつやに違いがありました。
Aの30%は、比較的淡い黄色で、リンゴの果肉がはっきり残っています。
全体として、果肉そのものを楽しむような仕上がりでした。

Bの50%は、Aよりも色が濃く、つやがあり、少しとろみが感じられました。

Cの70%は、琥珀色に近い色合いで、つやが強く、3種類の中で最もとろみがありました。
細かい果肉は残っていますが、全体がよくまとまっています。

今回の試作では、砂糖の量を変えて作ったところ、色やつやだけでなく、果肉のまとまり方やとろみにも違いが見られました。

3.砂糖の量で、甘さとリンゴの風味はどう変わったのでしょうか

次に、冷却後のジャムを食べ比べました。

Aの30%は、紅玉らしい酸味が最も強く感じられ、リンゴの風味もはっきり感じられました。
Bの50%は、Aより甘さは増していますが、リンゴの風味も感じられ、味わいはCよりもAに近い印象でした。

一方、Cの70%は、甘さが非常に強く、まるで飴のような味わいでした。
リンゴの風味は、ほとんど感じられませんでした。

今回の食べ比べでは、30%と50%の違いよりも、50%と70%の違いが大きく感じられました。
甘さだけでなく、紅玉らしい酸味や風味の感じ方にも違いが見られました。

4.砂糖は、甘さ以外にも働いています

では、今回、なぜジャムの仕上がりに違いが生じたのでしょうか。

ジャムのとろみや固まり方には、果物に含まれるペクチンが関係しています。
ペクチンは植物の細胞壁などに含まれる成分です。
ペクチンの種類によっては、糖の濃度や酸性度などの条件が整うと、網目状の構造を作って水分を抱え込み、ゲルを形成します。

また、砂糖を加えて加熱すると、水分の蒸発によって糖液が濃くなり、粘度も高くなります。

今回の試作では、加熱前とできあがりの重さも比べました。

比較項目 A(30%) B(50%) C(70%)
加熱前の重さ 195 g 225 g 255 g
できあがりの重さ 122 g 151 g 162 g
減った重さ 73 g 74 g 93 g

加熱によって減った重さはCが最も大きくなりました。
ただし、加熱前の重さも異なるため、これだけで糖液の濃縮の程度を比べることはできません。

今回は沸騰後の加熱時間を8分にそろえましたが、火力は適宜調整しました。
ジャムの仕上がりには、砂糖の量だけでなく、加熱による水分の変化やペクチンの働き、果肉の状態なども関係していると考えられます。

今回の比較から、ジャムのとろみを考える際には、こうした複数の要因に目を向けることが大切だと分かります。

5.ジャムにとって、ちょうどよい砂糖の量とは?

今回の3種類では、砂糖30%と50%はリンゴの風味が感じられましたが、70%では甘さが強く、紅玉らしい風味が感じにくくなりました。

以前のあんこの食べ比べでは、砂糖70%が「ちょうどよい甘さ」でした。
ただし、あんこは乾燥小豆の重さ、今回のジャムは生のリンゴの重さを基準にしているため、同じ70%でも単純に比較することはできません。

一方、砂糖の量が少ない方が、必ずしもよいジャムになるとは限りません。
ジャムには、果物の風味を楽しむという面だけでなく、砂糖を利用して保存性を高めるという面もあります。
糖の濃度が高くなると、微生物が利用できる水が少なくなり、増殖が抑えられやすくなります。
ただし、保存性は砂糖の添加割合だけで決まるものではありません。

今回、リンゴに対して加えた砂糖の割合は30%、50%、70%でしたが、できあがったジャムの糖度は、リンゴ自体に含まれる糖類や加熱中の水分の蒸発によっても変わります。
なお、今回の試作では、ジャムの糖度や保存性は調べていません。

おいしさを考えるときの砂糖の量と、保存性を考えるときの砂糖の量は、同じように考えてよいのでしょうか?

次回は、今回の試作も振り返りながら、砂糖とジャムの保存性について考えてみたいと思います。

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6.参考文献

・農林水産省(2021)「料理に役立つ!砂糖の性質と働き」『aff』2021年11月号.
 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2111/spe1_02.html

・川手浩司(2009)「ジャムと砂糖のはなし」農畜産業振興機構「視点」(2009年9月).
 https://sugar.alic.go.jp/japan/shiten/shiten0909a.htm

・槇賢治(発行年不明)「第12話 広がるジャムのバリエーション」北海道立総合研究機構「食ものがたり」.
 https://www.hro.or.jp/hro/topics/rensai/syoku/post-29.html